「原爆の図 丸木美術館」は、画家の丸木位里と俊夫妻が原爆投下直後の惨状などを描いた連作の絵画「原爆の図」15部のうち、主に広島の状況を描いた14部を展示しています。
丸木夫妻はこの作品を誰でもみられる場所としてふるさとの広島の風景に似た埼玉県東松山市を選び、この美術館を建設しました。
「原爆の図」には、折り重なるようにして亡くなっていく人の姿や水を求めてさまよう人々などが生々しく描かれていて、涙を流しながら見つめる人の姿もありました。
初めて訪れたという40代の女性は「本当に悲惨な状況が伝わってきました。残していかないといけない、という丸木夫妻の気持ちが伝わってきて、これからもいろいろな人に見て欲しいです」と話していました。
修学旅行で広島に行く前に訪れたという高校生は、「人の表情など見たことがなく戦争を恐ろしく感じました」と話していました。
美術館によりますと、日本被団協とは、美術館の存続に向けて寄付の呼びかけをしてもらうなど被爆の体験を継承する共通の立場で協力関係を築いてきたということです。
学芸員の岡村幸宣さんは「受賞の一報には驚きましたが、核廃絶に向けて長年活動されてこられた方々なので喜ばしいです。この数年、お世話になった方が少なくなる中、残されたものの大切さを痛切に感じます。絵には遠ざかっていく記憶をつなぎとめていく力があると思うので、今ある戦争の現実を受け止める手がかりにしてもらいたいです」と話しています。